ハルサメレオンの春
 「何も無いって…あれだけの事をしておいて?」

 「うん」



 それは嘘だった。番宣の時にハグをされた時も、撮影中にずっとひっつき虫だった時も。言えるはずがなく。



 「私のミューちゃん…」



 どこを心配すれば良いのやら。



 「私の可愛いミューちゃんが…レオに期待していた私が馬鹿だったわ」



 ゆりあがこれだけ口を滑らせることも珍しかった。

 はあ、と俺はため息をついた。それから俺は何かに煌めいてしまった。



 「もし俺が仲良くしてたらどうだった?」

 「う…それは愚問だわ」

 「だろ?良かったじゃん」
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