ハルサメレオンの春
…ーガーデンへ向かうと、人気の無さが際立っていた。
ここは生徒会さえも立ち入りを重んじる、由緒正しき地であり、噴水を囲む様に配置されたバルコニーを、さらに薔薇達が周囲を覆っていた。
春なだけあって、風が薔薇の香りを運んでいる。
「レオン様」
そこには俺の召使い、マリとリエが既にいた。
シックなメイド服姿の彼女らは、いつにも増してシックな風貌であった。
「どうしたの、呼び出しなんて」
わかっている、何かある事なんて。
メールも電話も使わない、今時ではない手法しか使わない。そんな人物、
「お便りです」
マリから差し出されたのは、青色の封筒。
普段とは違う色合いに、俺は意表を突かれた。