ハルサメレオンの春



 差出人はブルーの色味とは違い、【DeepGreen】から。

 その筆跡も、昔ながらのタイプライターそのものであった。


 俺は珍しく手に汗を馴染ませていた。

 もしも差出人が違ったとしても、これを手に取ってしまった時点で、俺はもう後戻りができない。

 知ってしまっているんだ。
 時間ではない。感情も戻すことはできないことを。俺はまだ俺でいられている。

 だから。



 『You should date Yuria de Rose.』



 ゆりあ・ド・ローズと交際しなさい。
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