君の隠しているモノ
家に帰ってからメールをした。あっさりメールを送ってしまってどう思われるかと思ったけど夜九時過ぎに帰ってきた。遅くまで仕事しているんだなぁ。
私は大学生で週に4回バイト入れてるけどバイト終わるの七時だし。帰って七時半……九時なんて自分の部屋でくつろいでるくらい。

足立くんからメール来るまでは恵美の不倫話……いや彼女にとっては恋バナ。
それに付き合うけど私が足立くんとメアド交換した、と言う話に食いついてきた。

私は恵美の恋バナが気になるけどな。
『まだメアド交換しただけだよ』
と送ると
『そっからだよ、急展開』
と経験者は語る。

そんなものなのか、まだ交換しただけだし。
とモヤモヤしてると足立くんからメールが来た。恵美とのメールは一旦中止。

『お疲れ様、今帰って来た。』
うわー、本当お疲れ様だよ!

恵美からのメールも来るけど私は足立くんからのメールにドキドキしながら返信をどうしようか悩む。同い年の男子とメールなんて……ない。そもそも高校は女子しかいなかったしね。

中学の時とか男友達なんていなかったし。男子にメールってどうすりゃいいのかわからない。

と考えてるうちに足立くんからのメールが来た。
『今何してるの』
って。あなたとメールしてるじゃん! って突っ込みながらも
『家でゴロゴロしてます』 
って返した。

だが今帰ってきたばかりの彼にそう返すのってだめじゃん! って慌てて消そうとしたらもう既読されてた。ああ、やっちまったー。

『じゃあ俺も今からゴロゴロする。ご飯食べる』
普通に帰ってきてホッとした。
ご飯……お母さんが作ったご飯かしら。今からご飯食べたら私はとっちゃう時間だ。
そんなの足立くんには言えない。

『何食べるの』
って返したら
『弁当』
ってそっけなく返ってきた。いつもの真面目さがない。まぁいつもは仕事上だからね。
普段はこんな感じ……なんだぁ。と思うと同い年だなぁって思えてきて少し緊張がなくなってきた。

『弁当ってコンビニの?』
あら、お母さんのご飯じゃない……まさか一人暮らし?

『ううん、24時間スーパーの売れ残りで安くなるからそれを買う』
足立くんは仕事終わってスーパー寄って帰ってきたからもっと早くに終わったんだろうなぁ。
にしてもお弁当か……。でもちゃんと食べるのは偉いと思う。

って何褒めてるんだか。ああ、友達で推しのこと褒めまくってる子がいたなぁ。
推しが早めに寝るってSNSに書き込むと
『ちゃんと早く寝るのえらい!』
って言ってたっけ。
そんなのいうの理解できなかったけどそういうことなのか?
そういうことってなんなんだろ、やっぱりどうかしてる。どうかさせられてる、私。

『ご飯食ったんだけどさ、家ってどこだっけ』
ご飯食べるの早い! そしていきなり出てきた家、のワード!

えっ、どしよどしよ。恵美にどうしようってメール送ったけど帰ってこないのはなんでよ。

『あそこのバイトの人地元の人でしょ。って聞いたけど』
あーパートの人たちが言ったんだなぁ。個人情報ー!
でも足立くんに伝わるのなら……いっか。
『そうだね。でも私だけは駅からバスで十五分のところだよ』
足立くんもどこの人なのかな。

『まじか。俺もそれくらい』
……えっ。でも同い年で同じ地域だったら顔くらい知ってるけど足立って苗字の同級生や先輩後輩や知り合いなんていないし。

『〇〇なんだけど』
あーうちの正反対の十五分のところか。って足立くんの個人情報をうっかり知ってしまった。

『そーなんだ、うちは△△』
って私も個人情報を開示。

『まじ! じゃあ△中だよね』
『うん』
中学までバレることに。うわー。

『俺〇〇高校なんだけど△中のやつ何人か同級生』
ひゃー!!! 特に男子とは仲良くなかったけども名前をあげたら知ってる! とか言われたら終わりだ。でも同級生、ていう言い方だと友達では無い? ならいいかもだけど。友達だったら私の根暗さとか卒業アルバムとか見られちゃうよ。

あ、だれか確か△高校いた気がする! 反対に私が卒業アルバム見れるかも!

……それは恵美なんだけどね。
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