【改稿版】あなたと紡ぐ、永遠の愛は奇跡でした。
■渡された鍵。
「じゃあね、佐倉さん。 またね」
「はい。お疲れ様です」
村木さんは私に手を軽く振って、エレベーターに乗り込んでいった。
私も次に来たエレベーターに乗り込み、六階のボタンを押した。
誰もが辛い思いをして、たくさん傷ついてきたととしても。 もしそれが叶わない恋だったとしても、それをバネにして真っ直ぐに生きている私たち。
好きだから笑って、好きだから泣いて。好きだからたくさん傷ついて。
好きだから辛くなって、好きだから一緒にいたいと思って。
その気持ちの一つ一つが、私にとって大切なもので、その気持ちを絶対に今度も忘れちゃいけないと思った。
誰かを愛する気持ちは、その人だけの特権だ。
* * *
「んんっ……」
その日の夜、私はとある夢を見た。 それは課長と私が結婚式を挙げてる様子で、二人で幸せそうに笑っていた夢だった。
「んっ……」
その後、私はゆっくりと目が覚めた。
なんだ……やっぱり夢だ……。
これが夢じゃなきゃいいのに……なんて贅沢なことを思う。
「おはよう瑞紀。起きたか?」
そう声をかけられて、「あ……はい」と返事をした。
え……。ええっ……?
「お、おはようございます……課長」
ちょっと待って……。なんで課長がここにいるの!?
なんで?どうして……!?
慌てる私に、課長は「どうした?」と顔をのぞき込んでくる。
「……な、なぜ課長がここにいるんですか」
だってここは、私の家だよね!? ちゃんとカギだって掛けてるし、部屋になんか入れる訳がないのに……!