【改稿版】あなたと紡ぐ、永遠の愛は奇跡でした。


「はい。……すみません、沙織は今体調が悪くて、寝ています」

「そっか。いきなりごめんね」

「……いえ」

 私がそう言うと、航太くんは「またかけるよ。……じゃあ」と電話を切った。

 沙織も航太くんの声、ちゃんと聞きたかったよね。 航太くんも、全然変わってないよ。
 あの時と同じで、温かくて優しい声をしている。

「……んっ」

「すいません。ここで降ります」

 私はタクシーのお金を払うと、沙織を抱き抱えて部屋まで運んだ。

「よいっしょ……」

 部屋に入り、寝室のドアを開けると沙織をベッドに寝かせる。

「んん……み、ずき……」

「ん?」

 なんだ、寝言か……。
 風邪を引いたら大変だから、沙織に布団をかけてあげる。

「んっ……あれ、瑞紀……?」

「あ、起きた?」

「ここは……?」

 目を覚ました沙織に、「沙織の部屋だよ。寝ちゃってたから、部屋まで運んできた」と伝える。

「そっか……ありがとう」

 沙織は眠たそうな顔で微笑む。

「ううん。体調は大丈夫?」

「うん……なんとかね」

「なら良かったよ。 今日は早退ってことになってるから、今日はゆっくり休むといいよ」

 沙織にそう伝えると、沙織は「うん……ありがとう。ごめんね」とベッドの中で笑う。

「ううん、気にしないで。このくらいどうってことないから」

 私は沙織に「ごめんね、沙織」とベッドに座る。

「……え?」

「沙織の悩みに気づいてあげられなくて、ごめん」
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