【改稿版】あなたと紡ぐ、永遠の愛は奇跡でした。
■繋がる思い。
まあ英二も最近私にはなにも言ってこないから、今の気持ちは全然分かんないけど……。
もしまた好きだと言われても、付き合えないとしか言えない。
だって私は、課長が好きだから。 あんなに優しい英二を振るなんてちょっと後ろめたいけど、よく考えた結果だとは思う。
「先輩、今日はちゃんと残業しろって、部長からっすよ」
「えっ!?」
ウソ……。残業なんて聞いてない……。
「残業すれば、給料ちょっとだけ上げてくれるらしいっすよ」
「本当にっ!?」
なら頑張るしかないか。
* * *
「先輩、お疲れ様です」
「あ、英二」
「はい。これどうぞ」
英二から缶コーヒーを渡される。
「いいの? ありがとう。悪いわね」
「いえ。 じゃあ俺は今日用があるんで、これで失礼しますね」
「うん、ありがとう。 お疲れ様」
英二はにこやかな笑顔で、「お疲れ様です。 残業頑張ってくださいね」と、そのまま背中を向けて帰って行った。
英二から受け取ったコーヒーを飲むと、少しだけ気持ちが落ち着いた気がした。
ただ、一人がこんなにも虚しい気がするのはなぜだろうか。
課長も帰っちゃったし、沙織もいないし、英二もさっき帰っちゃったし。
一人って、こんなに寂しかったっけ? そっか、最近は課長とばかり過ごしていたからかな。
一人になることが、こんなにも虚しいだなんて……。
一人がこんなにも寂しいものだったなんて、思ってもなかったな。
一人になると妙に寂しくなって、なぜか涙が出そうになる。