【改稿版】あなたと紡ぐ、永遠の愛は奇跡でした。
■嫉妬心と欲望〜恭平目線〜
「……なんだ静香」
俺は元妻である静香に呼び出されていた。
「いきなりごめんなさい。ちょっと話があるの」
「……俺は話すことなんて何もないが」
「そんなこと言わないで。とても大事な話だから聞いてほしいの。……お願い」
俺はため息を吐き「……わかった」と答えた。
別れた旦那に頭まで下げるなんて、どうかしている。
なぜもうニ年も前のことなのに、今さら俺に会いに来たりするんだ……。
お互いに納得して離婚したはずなのに、今さら俺の元に来られても困る。
俺にはもう瑞紀がいるし、瑞紀はとても大切な人なんだ。
「適当に座ってくれ。 今お茶煎れる」
「ありがとう」
ソファーに座る静香を遠目で見つめると、あの頃を思い出す。
俺たちがまだ夫婦だった頃、俺たちは毎日一緒に過ごしていた。
例え仕事がどんなに忙しくても、きちんと家に帰って、静香の作ってくれたご飯を食べていた。
今日は遅くなるって連絡すると、静香はいつも俺が帰ってくるまで、起きて待っていてくれたりもした。
今思うと、あの頃の俺はきっと幸せだったんだと思う。 静香みたいな妻を持ってよかったと、あの頃は毎日思っていた。
でもずっと待ち望んでいた子供は出来なくて、それが原因ですれ違いになり、結局離婚することになった。
離婚してからは、何もかもが変わった。静香がいない生活が、こんなに虚しいものだなんて思ってもなくて。
静香がいたあの時、何よりも温もりがあったことを離れてからわかった。
今思うと静香にはたくさん迷惑ばかりかけたし、たくさん悲しませたりもした。
本当に申し訳ないと思うし、謝って許してもらおうなんて今さら思ってもない。