【改稿版】あなたと紡ぐ、永遠の愛は奇跡でした。


「ならあなたが言う釣り合ってるが、どういうことか説明してください。 私にも分かるように、説明してもらえますか?」

 私を睨みつけた彼女は、「……つまり、立場逆転って訳ね」 と悔しそうに呟く。

「いいから、質問に答えてください」

「うるさいわね! 私に指図しないで!」

  藤堂さんは壁をバンッと叩いて、私にそう怒鳴り付けた。

「言わなくても、分かるはずじゃないですか」

 彼女が私の言葉に黙り込んでしまう。

「藤堂さん、質問に答えてください。あなたが言う釣り合ってるが、どういうことなのか、私に分かるように説明してください」

「………」

「藤堂さん、何か言ってください!」

 私がそう怒鳴ると、藤堂さんはそのままドアノブに手をかける。
 私は思わず、その背中に「あなたはまたそうやって逃げる気ですか?」と声をかけた。

「は? どういう意味?」

「あなたは課長のことで、都合の悪いことがあるとすぐそうするじゃないですか。……逃げれば全てが解決するなんて思わないでください。逃げたら、負けなんです」

「うるさいわね! もう黙りなさいよ!」

 藤堂さんは再び私の胸倉を掴んで、壁に押し付けた。

「……どうぞ。殴りたきゃ殴ってください」

「っ……」

 藤堂さんは唇を噛みしめ、静かに胸倉を放した。

「一つ言っておきます。私はあなたなんかに課長を渡しません。……絶対に」

「あっそ、好きにしたらいいわ。でも私は諦めないわよ。絶対恭平さんを取り戻してみせるから」

「私だって負けません。課長は絶対に渡しません」

「……勝手にしなさい」

 藤堂さんはそう言い残し、そのまま私の前から立ち去っていった。
< 153 / 251 >

この作品をシェア

pagetop