【改稿版】あなたと紡ぐ、永遠の愛は奇跡でした。
沙織がいなくなった後、ちょうどいいタイミングで英二が入れ違いで戻ってきた。
「あれ、先輩?何やってるんですか?」
「あら、見ればわかるでしょ? 仕事よ仕事」
そんな私に向かって、英二は「お昼は食べないんすか?」と聞いてくるから、「食べるよ。 でもこれが終わったらにする」とパソコンに目を向ける。
「大変っすね、先輩」
「そうよ。私はみんなより大変な仕事してるのよ」
「……本当に尊敬します、先輩」
英二がそう言ってくれるので、私は「あら、ありがとう」と笑った。
「……あの、先輩って」
「ん? なに?」
英二の方に視線を向けると、英二は「なんか、カッコイイっすね」と言ってくれた。
「カッコイイ? 私が?」
「はい。なんか理想の上司って感じがします」
「え?いきなりなによ?」
でも嬉しいな、そう言ってもらえて。
「先輩って、本当に出来る女って感じがしますよ」
「そう? そんなことないと思うけどな」
あまり自分では、仕事が出来るとは思っていないのだけど。
「……やっぱり先輩は、俺にとって手の届かない存在なんですね」
「えっ……?」
英二の言葉に、思わずパソコンを動かす手が止まった。
「先輩はこんなにも近くにいるのに、なんか先輩が遠い距離にいるような気がします」
「ちょっと待ってよ、英二。なに言ってるの? いきなりどうしたの?」
私は思わず、英二を見つめる。
「……っ」
英二は私から目を伏せると、唇を噛み締めた。
「……英二?」
「俺は……」
ん……? 俺は……なに?
「俺は……そんな先輩、好きじゃないです」
「……え?」