【改稿版】あなたと紡ぐ、永遠の愛は奇跡でした。
□友達の幸せは何か。


「じゃあ私たち、帰るね」

「うん。今日はわざわざありがとね」

「ううん」

「じゃあ気をつけてね」

「さようなら」

 私たちはしばらく滞在した後、沙織に見送られて帰った。

「先輩、思ったより元気そうでしたね」

「うん。良かったね」

 沙織が妊娠してること、英二には教えるべきだろうか。
 でも英二はなにも知らないから、そのまま知らない方がいいか。
 変な心配は、かけないようにしないとだし。

「でも先輩、なんか変でしたよね」

「えっ? そ、そうかな」

 まさか英二、沙織の妊娠に気づいた……?

「よくわかんないっすけど。なんか元気そうで元気じゃないって感じ、じゃなかったですか?」

「そうかな。 まあ仕事の疲れがたまってるんだよ。最近忙しかったみたいだしね」

「……ならいいですけど」

 英二はもしかして、感が鋭い……?

「沙織のこと、心配なの?」

「もちろんですよ。……たださっきも体調悪そうだったんで、気になって」

「……そっか」

 よかった……。英二はまだ沙織のことについて、なにも気づいてないみたい。
 もし気づかれたらたりしたら、大変なことになるよね……。

「……ねえ、英二」

「ん?」

「もし、もしもの話なんだけど。……もし彼女とか友達とかに妊娠したって言われたら、アンタどうする?」

 私がそう聞くと、英二は「はい?妊娠ですか?」と私を見る。

「う、うん」

「えっ!まさか先輩……」
 
 英二が驚くような顔をするので、「だから、もしもの話だって」と言葉を返す。

「もしも? んー、そうですね。多分嬉しいと思います。やっぱりそれが、その人にとっての幸せだと思いますしね」

「……そうだよね」

 妊娠って、一つの生命(いのち)がお腹の中に宿ってるってこと。
< 173 / 251 >

この作品をシェア

pagetop