【改稿版】あなたと紡ぐ、永遠の愛は奇跡でした。


「そうだ。 行き先はアメリカなんだが、どうかね?」

  え、アメリカ……? それって、海外研修ってこと……だよね?
 ウソでしょ……。本当に? でも、なんで私?

「……ちょっと待ってください。どうして私、なんでしょうか」

 常務にそう問いかけると、常務は真剣な目をして「もちろん、それは君が優秀な社員だからに決まっているだろう」と答えてくれた。
 もちろん、今回の話がいきなりのことでビックリしている。

「……それは、光栄です」

 でも頭の中はいっぱいいっぱいで、混乱している。

「どうかね? 行く気はないかい?」

「……あの、その研修期間は、どれくらいなんでしょうか」

 研修期間によって変わってくるけど、どのくらいなのだろうか。

「詳しくはまだ未定だが、恐らく一年から二年くらいになるだろう」

「……一年から、二年ですか」

 思ったより長いんだな……。

「こんなチャンスは、めったにないことなんだ。佐倉くんにとっても、プラスになることだと思うんだが。……どうだい?行ってみる気はあるかい?」

 一年から二年という月日が、長く感じて躊躇ってしまう。

「……すいません。 少し考える時間をいただけませんか」

 常務は「ああ、もちろんだよ。返事はいつでも構わないよ」と優しく返してくれた。

「ありがとうございます。 いきなりなので、ちょっとビックリしてしまいまして」

「当たり前だよ。私も突然だったね。いきなり申し訳ない」

「……いえ、そんな」

 私がまさか、こんな話をもらえるなんて。どうして常務は私なんて……。
 私は別に普通の平凡な社員だ。 いいのかな、私なんかで。
 でももし行くとしたら、一年から二年は向こうに行かなきゃいけないし……。
 そうすると、課長とも会えなくなるけど。……でももしそれが私でと言うのなら、私はアメリカに行きたい。
< 192 / 251 >

この作品をシェア

pagetop