【改稿版】あなたと紡ぐ、永遠の愛は奇跡でした。
「そうだ。 行き先はアメリカなんだが、どうかね?」
え、アメリカ……? それって、海外研修ってこと……だよね?
ウソでしょ……。本当に? でも、なんで私?
「……ちょっと待ってください。どうして私、なんでしょうか」
常務にそう問いかけると、常務は真剣な目をして「もちろん、それは君が優秀な社員だからに決まっているだろう」と答えてくれた。
もちろん、今回の話がいきなりのことでビックリしている。
「……それは、光栄です」
でも頭の中はいっぱいいっぱいで、混乱している。
「どうかね? 行く気はないかい?」
「……あの、その研修期間は、どれくらいなんでしょうか」
研修期間によって変わってくるけど、どのくらいなのだろうか。
「詳しくはまだ未定だが、恐らく一年から二年くらいになるだろう」
「……一年から、二年ですか」
思ったより長いんだな……。
「こんなチャンスは、めったにないことなんだ。佐倉くんにとっても、プラスになることだと思うんだが。……どうだい?行ってみる気はあるかい?」
一年から二年という月日が、長く感じて躊躇ってしまう。
「……すいません。 少し考える時間をいただけませんか」
常務は「ああ、もちろんだよ。返事はいつでも構わないよ」と優しく返してくれた。
「ありがとうございます。 いきなりなので、ちょっとビックリしてしまいまして」
「当たり前だよ。私も突然だったね。いきなり申し訳ない」
「……いえ、そんな」
私がまさか、こんな話をもらえるなんて。どうして常務は私なんて……。
私は別に普通の平凡な社員だ。 いいのかな、私なんかで。
でももし行くとしたら、一年から二年は向こうに行かなきゃいけないし……。
そうすると、課長とも会えなくなるけど。……でももしそれが私でと言うのなら、私はアメリカに行きたい。