【改稿版】あなたと紡ぐ、永遠の愛は奇跡でした。
私は戻る途中、ずっと考えていた。
アメリカ研修か……。確かに私だって行けるチャンスがあるのなら、行きたい気持ちはある。
でも断ってしまったらこのチャンスが回ってくることは、きっと二度とないに決まってる。
これが最初で最後のチャンス……。
「あら、佐倉さん」
「……藤堂さん、まだいたんですか」
再び休憩室の前を通ると、藤堂さんがカフェオレを飲んでいた。
「常務の話って、一体なんだったのかしら?」
その場を立ち去ろうとしたが、藤堂さんに話しかけられ、思わず立ち止まる。
「……いえ、あなたには関係ないことなので」
この話は、いくら藤堂さんでもあっても言えない話だ。
「そうね、まあ関係ないわね。 ごめんなさいね、余計なこと聞いて」
「いえ。では失礼します」
自分のデスクに戻りため息を付くと、課長にチラッと視線を向ける。
課長は真剣な顔で会議資料に目を通している。
アメリカか……。もしアメリカに行くとしたら、課長とは離れ離れになるってことだよね。
行けるのだから、ぜひ行きたい。 でも課長と離れ離れになるのはイヤ。
「……先輩?どうかしました?」
「え? あ、ううん。何でもない」
しかし仕事に集中出来る訳もなく、その日一日を終えた。
「先輩、お疲れ様でした」
「うん、お疲れ様」
私も仕事を終えて休憩所でお茶を飲みながら、ずっと考えていた。
「……どうしたらいいの、私」
やっぱりアメリカ、行くべきだよね……。じゃないと、せっかくもらった話が台無しになる。
「アメリカ……か」
せっかく自分の学べる場所が出来たのに、迷いばかりが生まれる。