【改稿版】あなたと紡ぐ、永遠の愛は奇跡でした。
私はお茶をテーブルに置くと、スマホを開く。
「あ、もしもし沙織……?」
申し訳ないと思いながらも、沙織に電話した。
「瑞紀?どうしたのよ」
「体調はどう?」
「そうねえ。相変わらずレモン食べてるわよ」
悪阻に悩む沙織であったが、その声は少しばかり明るいように感じた。
「そっか。レモン足りてる?」
「足りすぎなくらいよ。航太も買ってきてくれたし」
「そっか。足りなくなったらまた持ってくね」
「ありがとう」
沙織にアメリカ行きのこと、相談したいな。……でもな。
電話越しで躊躇っていると、沙織はすかさず「で?私に何か相談したいことがあるんでしょ?」と言ってくれた。
「え?なんでわかったの?」
「やっぱりね。なんか暗い声してると思ったら、やっぱりそうだ」
沙織はやっぱり、私のことがよくわかっている。
「実はね、ちょっと聞いてほしいことがあって」
「じゃあ今から家に来なよ」
「え、でも。いいの?体調がまだ良くなってないのに」
と言ったけど、沙織は「今日は比較的安定してるから大丈夫よ。 待ってるから、来なよ」と言ってくれたので「うん、ありがとう。今から行くね」と電話を切った。
カバンを手にして退勤した後、沙織の家へと向かった。
* * *
「沙織、時間作ってくれてありがとう」
「いいのよ、そんなの気にしなくて」
沙織の家のリビングには、妊娠に関する本がたくさん置かれていた。
「コーヒーとオレンジジュースどっちがいい?」
「あ、じゃあオレンジジュース」
「オレンジジュースね」
「ごめん、ありがとう」
沙織の身体も辛いはずなのに、そんな素振りは全く見せない。