【改稿版】あなたと紡ぐ、永遠の愛は奇跡でした。
「はい」
「ありがとう」
私の向かいに座った沙織は、「で?相談したいことってなに?」と私を見る。
「うん、実は……今日、常務に呼び出されたの」
「常務に? 珍しいわね」
「そう、それでね……」
私は沙織にさっきの出来事を話した。
「そう。……アメリカか」
「私、どうしたらいいのかわからなくて、迷っててね」
「確かにそうよね。いきなりそんなこと、言われてもね、わからないわよね」
「……うん」
話を聞いてくれた沙織は、そんな私に向かって「どうするか決めるのは、もちろん瑞紀自身だけど。 でもやっぱり、すぐに決めるのは難しいことだよね」と真剣な顔を見せる。
「私が決めないといけないのは、わかってるの。……でも課長と離れることになるから、迷いが出ちゃって」
「まあ、気持ちはわからなくないけどね」
好きな人と離れることを覚悟でアメリカに行くしかないから、私にはそんな勇気があるかというと、そんな勇気はない。
「確かに決めるのはすごく難しいと思う。めったにないチャンスだから行きたい気持ちは強いだろうし。 でも瑞紀は、課長とも離れたくない。そうだよね?」
「……うん。せっかく常務が与えてくれたチャンスをムダにしたくないし、行けるのであれば行きたい。むしろ、行くべきだと思うの」
それが常務にとっても、望ましいことだってわかってる。
「まあ、もしそれが仮に私だったとしても、私も悩むだろうしね。 これはそんな簡単に、決められることじゃないし」
「だけど、課長とは離れたくない。……せっかくいい人に巡り会えたのに、このまま離れるなんてイヤ」
「瑞紀、アンタの気持ちはわかるよ。 だけどせっかくチャンス、もらえたんでしょ?」