【改稿版】あなたと紡ぐ、永遠の愛は奇跡でした。
沙織は私のことを思ってくれていることも、わかる。
「ねえ、もっと前向きに考えてみたら? もしこのチャンスを逃したら、もう次のチャンスはないよ。アンタもわかるでしょ?」
「……わかる。 わかるけど、なんで今になって言われるのかな」
「え?」
「どうせなら、課長に出会う前にその話がでてほしかった。 そしたら私、こんなに悩むことなくてすんなりと決められたのに」
タイミングが悪すぎる……。
「まあ、確かにそうね。でもそれは仕方ないよ。……わかってると思うけど、これはアンタにとって、究極の選択なのよ。選んだ道でアンタの人生が変わる」
「……究極の、選択」
そっか。……そうだよね。
「そうよ。その道を選んだら、アンタはもう後戻りは出来なくなる」
後戻り……出来なくなるか。 確かに、そうだな。
私は考えながらオレンジジュースに手を伸ばす。
「でもさ、よく考えてみなよ。 常務がアンタにその話を出したのって、常務がアンタの社員としてのスキルや実力、働きぶりを認めてるからよ?」
そういえば……。
「……常務が言ってた」
「え?」
「常務は、私が優秀な社員だから選んだって言ってた」
私が自分がそこまで優秀だとは思ってなかった。まだまだ未熟で勉強不足だし。
「でしょ? ってことは、アンタはそれだけ信用されてるってことでしょ」
「……そうかな」
「そうよ。だからアンタを選んだんだと思うけどね」
沙織に言われて、私はつい「私は優秀なんかじゃないよ。 まだまだ半人前だし、学ぶこともたくさんあるのに」と口にしてしまう。
「そんなことない。アンタは充分実力があるよ。仕事もちゃんと出来るし、人に気を使えるし、部下からも信頼されてて情に厚い。……それに課長にだって、信頼されてるじゃない」