【改稿版】あなたと紡ぐ、永遠の愛は奇跡でした。
「そうかい。 研修の締め切りは、一週間後だ」
「一週間後……ですか?」
後一週間……? 後一週間しかないの……?
ダメ、短い。……短すぎるよ。
「なるべく早く答えを出しなさい。……色々手続きがあるからね」
「……はい。わかりました」
どうしよう……。後一週間しかない。
あと一週間で、アメリカに行くかどうか決めなきゃいけない。
「話はそれだけだから、もう戻りなさい。 時間を取らせて済まなかったね」
「……いえ。とんでもありません」
常務は私に、「最後に一つだけいいかい」と口にする。
「……はい」
「このアメリカ研修はめったにないチャンスだってこと、よく肝に命じておきなさい。 わかったかい?」
「はい」
わかってる。言われなくても、わかってる……。
でも……でもそんなの簡単に決められない。
「わかってるならいいんだけどね」
タイムリミットは……後一週間だ。 この一週間のうちに課長にこの事実を話さないと、私は絶対に後悔することになる。
でも……課長と離れたくない。
「……あの、常務」
「なんだね?」
「この研修は、私のためになりますか……?」
そう問いかけると、常務は「もちろん、なるよ。なんだい?君はずっとアメリカ行きたがっていたじゃないか」と私に言う。
「……はい。そうなんですが」
「実は言うと、私は君ならすんなりOKすると思っていたんだがね」
「え……?」
「もしかして君が迷ってるのは……誰か大切な人でも出来たから、なのかな?」
私はそう言われて「それは……そのっ。そういう訳では、ないのですが……」と言葉にするが、「別に隠さなくてもいいよ」と言われてしまった。