【改稿版】あなたと紡ぐ、永遠の愛は奇跡でした。


「……すみません」

「なに、謝ることじゃないよ。……まあ、その大切な人とも、話し合って決めなさい」

 常務は私にそう言い残し、会議室から出て行った。

 アメリカ研修、か。 確かに常務の言うとおり、私はずっとアメリカ研修に行きたかった。
 それが入社した頃からの私の夢だった。 でもそんなのは、夢のような話だと思って内心は諦めていたんだ。

 なのに今ごろになってこの話が出てくるなんて、どうしてなんだろう。
 確かにこれはめったにないチャンスだから、できるなら今も行きたい。 でも課長のことを考えると……。

「……そんなの、どうしたらいいのかわからないよ」

 アメリカ研修に行きたいはずなのに、行きたくない気持ちがあるのは……。

「あら、佐倉さん」

「……藤堂さん?」

 久しぶりに会ったような気がする、藤堂さんと。
藤堂さんはいつ見ても、やっぱり変わってない。
 やっぱりキレイで、品がある。

「どうかしたの?なんか元気ないわね」

「……いえ、なんでもありません。 失礼します」

 藤堂さんの前から立ち去ろうとした、その時ーーー。

「常務に聞いたわよ。アメリカ研修のこと」

 藤堂さんからそう言われた。

「……そうですか。聞いたんですね」

「あなたまさか……アメリカ、行かないつもりじゃないわよね?」

「……私がどうしようと、あなたには関係ありませんから」

「そうね、確かに私には関係ないわね」

 藤堂さんは続けて「あなた、恭平さんにはもう話したのよね?」と聞いてくる。

「……いえ、まだです」

「早く言ったほうがいいんじゃない?」

 そんな私に、藤堂さんは「アメリカ研修、絶対に行くべきよ。……あなたの今後のため、にもね」と言葉にした。
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