【改稿版】あなたと紡ぐ、永遠の愛は奇跡でした。


「すみません。 失礼します」

 私は軽く頭を下げると、そのまま歩き出した。
 
 そしてその時……。

「おい、瑞紀」

「え?……課長!?」

 目の前に、課長が立っていた。 驚いたような顔でーーー。

「なあ、今の話はどういうことだ? なんだ、アメリカ研修って……」
 
「……聞いていたんですか?」

 どうしよう。……課長にも、知られてしまった。

「俺の質問に答えるんだ。どういうことなんだ。……アメリカ研修って、なんだ?」

 今ここで、課長にだけは……知られたくなかったのに。
 まだ、知られたくなかったのにーーー。

「はい。課長が聞いた通りです。 ……アメリカ研修に行かないかと、言われています」

 課長は私に「それはいつだ? 誰からだ?」と聞いてくる。

「この前、常務からです。……めったにないチャンスだからと、釘を刺されました」

 私がそう伝えると、課長は寂しそうな顔をして「……瑞紀、お前は行くのか?」と私を見つめる。

「……まだ、わかりません。迷っています」

「わからないって……」

 課長は明らかに戸惑っているようだった。

「正直言って、すごく迷っています。 アメリカ研修は、入社した時からの私の夢だったんです」

「……なぜ、黙っていたんだ」

 課長……もしかして、怒ってる……?

「すみません。何度か言おうと思ってたんですけど、なかなかタイミングが掴めなくて。……結局言いそびれてしまいました。申し訳ありません」

「そんな大事なこと、なんでもっと早く言わなかったんだよ。 前に言ったよな?俺に隠しごとはするなと」

 課長に知られてしまった今、どうしたらいいのかわからない。

「あの時、何か言いたげな顔をしていたのは……もしかして、このことだったのか?」
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