【改稿版】あなたと紡ぐ、永遠の愛は奇跡でした。


「そういうお前は、ちゃんと食べてるのか?」

 課長も私と同じことを聞いてくるから、「食べてますよ。最近は時間があれば、ちゃんと自炊をするようにしてます」と答えた。

「そうか。ちゃんと食べて、栄養取らなきゃダメだぞ」

「わかってますよ。課長もきちんと、栄養のあるものを食べてくださいね」

「ああ、わかってるよ」

 この生活ももう一年になる。 でも向こうに帰れるまで、残り一年だ。
 後一年か。……長いなって感じる。

「……あと一年ですね」

「ん?」

「後一年で、課長に会えますね」

 早く一年、経たないかなって思ってる。 早く課長に会いたい。
 早く課長に抱きしめてほしい。

「……そうだな」

「課長に会えないなんて……すごく寂しいです」

 時々寂しくて泣きそうになるけど、私はそれをあまり課長には見せたくないのが本音だ。  
 自分で決めてここに来てるのだから、自分の仕事を全うするべきだとわかってるし。

「なに言ってるんだ。俺だって寂しいに決まってるだろ」

「……はい。なんか嬉しいです」

 大好きな人と同じ気持ちなのは、やっぱり嬉しい。

「嬉しいって、何がだ?」

「課長も私と同じ気持ちなんだって思うと、なんか嬉しいなって」

「そんなの、当たり前だろ」

 課長のその優しい声が私を包み込んでくれて、幸せな気持ちになる。

「はい。……あの、課長」
 
 だけど、私には一つ気がかりなことがある。

「なんだ?」

「藤堂さん、あれからどうしてますか?」

 藤堂さんのことが、気になっている。

「静香か……?」

「……なんだかんだ言って、ギクシャクしたままだったので」

 課長は「アイツなら、元気だよ」と答えた。

「そうですか」

「あ、でも」

「でも……?」

「アイツ、親父さんの会社を継ぐらしい」
< 222 / 251 >

この作品をシェア

pagetop