【改稿版】あなたと紡ぐ、永遠の愛は奇跡でした。
■年下からの告白。
「……紀?」
「………」
「ちょっと、瑞紀!」
「えっ!?」
「ちょっと聞いてるの?」
今まで沙織に呼ばれていることにも、全く気付かなかった。
「……ごめん、聞いてなかった。なに?」
沙織にため息を吐かれた後、「ねえアンタ、なんかあった?」と問いかけられ、思わずドキッとする。
「アンタ、今日なんか変だよ? なんかあったの?」
「……ううん。別になんでも」
「本当に?」
沙織には心配をかけたくなくて「うん。だから心配しないで」と伝えた。
「分かった。なんかあったらいつでも相談してよ?」
「うん、ありがとう」
私はデスクから課長にチラッと視線を向ける。
「佐倉さん」
「はいっ!?」
まさか、見てたの気付かれた……!?
「これを人数分コピーしておいてもらえますか?明日の会議で使いますので」
気付かれ……てたのかな?分からない。
「佐倉さん? どうかしましたか?」
「え?……あ、いえ。なんでもありません」
「そうですか。考えごとをしているのは構いませんが、仕事はきちんとしてください」
「……すみませんでした」
「ではこれを人数分コピーしておいてください。明日の会議用です」
「わかりました」
私はコピーする資料を受け取り、急いでコピーを取った。
やっぱり課長は課長だ。 でもあの日の課長の言葉が、ずっと胸につっかえている。
「私たちの関係って、一体なんなんですか……?」
「……身体だけの関係ってヤツ、なのかな、今は」
身体だけの関係か……。そう、私たちはやっぱり身体だけの関係でしかないんだ。
二人で会って、ただ身体を重ね合うだけの単純な関係。
私たちはきっとそれ以上の関係でも、それ以下の関係でもない。
課長にとって私は、きっとただの部下でしかないんだ。