【改稿版】あなたと紡ぐ、永遠の愛は奇跡でした。
■エピローグ〜永遠の愛は、奇跡でした〜
私は課長と結婚することを、沙織には一番最初に伝えたかった。 沙織が私の背中を押してくれたから、私は素直になることが出来たし、今もこうして幸せになることができる。
だから沙織には、本当に感謝しかない。
するとーーー。
「か、課長! おはようございます!」
私より三十分くらい遅れて会社にやってきた課長は、なんだかすっきりした表情をしているようにも見える。
「おはようございます。……佐倉さん、ちょっといいですか?」
出勤して早々、課長に呼び出された。
「え? あ、はい」
なんだろう……?
「課長?どうしたんですか?」
課長は私に「瑞紀、今から常務のとこに行くぞ」と言い出した。
「え? 常務の所……ですか?」
「ほら、俺たちはもう結婚するだろ? 常務には報告しないとダメだと思ってな」
「あ、はい。……確かにそうですね」
私たち、本当に結婚するんだよね……。なんだかまだ実感が沸かないな……。
「どうした?」
「いえ。……ただ、まだちょっと実感沸かないなって思って」
「まあ、そうだよな。 でもそのうち実感も沸いてくるだろう」
課長に言われて、私は「はい」と返事をした。
「よし、じゃあ行くぞ」
「……はい」
緊張するけど、挨拶……しないとだもんね。
「瑞紀、心の準備はいいか?」
課長にそう言われて「は、はい」と返事をした。
課長がドアをノックすると、「はい。誰かな?」とドアの向こうから声がした。
「斎藤です」
「ああ、君か。入りなさい」
「失礼します」
私は課長と一緒に常務のいる部屋の中へと入った。
常務のいる部屋に入る度に思い出す。アメリカに旅立つ前のあの時のことを。
やっぱりいつ入っても、ここは緊張する。