【改稿版】あなたと紡ぐ、永遠の愛は奇跡でした。


「今日はどうしたんだい? 佐倉くんと一緒だなんて珍しいじゃないか。なにかあったのかな?」

 常務がそう言いながら、私たちの方に振り向く。

「はい。……実は常務に一つ報告したいことがあり、ここに来ました」

「報告……というと?」

 常務は私たちを見つめている。

「はい。 実はこの度、佐倉さんと結婚することになりました」

「ほう!そうかい。 それはめでたい!おめでとう斎藤くん、佐倉くん!」

「ありがとうございます」

「あ、ありがとうございます」

 課長は常務に嬉しそうな微笑みを浮かべている。

「まさか、君たちが結婚することになるとは……これは驚いたな」

 常務のその言葉に、課長は「すみません。隠すつもりはなかったんですが」と話していた。

「いやいや、別に謝ることはないよ。 実におめでたい話だ」

「ありがとうございます、常務」

 常務は嬉しそうに「それで? 式の日取りとかは決めたのかい?」と聞いてくる。

「いえ、そういうのは全然。……改めて時間を作ってから、決めようと思います」

「そうかい、まあそれがいい。 焦ることはないからね」

「はい。……では私たちは、これで失礼致します」

「ああ、ご苦労だった。 斎藤くんと幸せになるんだぞ、佐倉くん」

「はい」

 私たちは「では、失礼します」と常務に挨拶をして部屋を出た。

「……課長、緊張しました」

「俺もだ。 でもすんなり受け入れてもらったみたいで良かったな」

「ですね。良かったです」
 
 私は本当に、課長と結婚するんだな……。私たちは、恋人から家族になるんだ。
 ついに……家族になるんだ。
< 248 / 251 >

この作品をシェア

pagetop