【改稿版】あなたと紡ぐ、永遠の愛は奇跡でした。
「まだ分かんないけどね」
「いいわねぇ。私なんて、有休あんまり残ってないのに」
「それは使っちゃうからじゃない」
「うるさいわねぇ」
沙織がそう言った瞬間、会社の電話が鳴り響いた。
「はいもしもし。みなもと商事です」
「あの……斎藤恭平さんは、いらっしゃいますか?」
「恭平さん?……あ、課長ですか?」
「はい」
今の電話の人、課長のこと、恭平さん……って言ってたよね?今。
うん、言ってた……。
「失礼ですが、お名前をお伺い出来ますか?」
「藤堂……です」
「藤堂さんですね。 少々お待ちください」
一旦保留ボタンを押した私は、「課長、一番にお電話です」と課長に伝えた。
「誰ですか?」
「藤堂さんという方からです」
「藤堂?……分かった。繋いでくれ」
「はい」
私は課長に内線の電話を繋いだ。
にしても……さっき課長に藤堂さんという名前を出したら、ちょっとだけ表情が曇ったようにも見えた。
何か……藤堂さんという方と関係があるのだろうか……?
そう思った、その時ーーー。
「会社には掛けてくるなって言っただろ!」
血相を変えた課長が、急に怒鳴りだした。
えっ……? か、課長が怒鳴ってる!?
「……課長、どうしたのかしらね? なんか怒ってるみたいだけど」
沙織が遠慮がちに聞いてくる。
「さあ……どうしたんだろうね?」
課長があんなに怒った姿、初めて見た。しかもすごく血相を変えている。
なんか……あったのかな? あんな姿初めてで、ビックリした。
「……分かった。今からそっちに行くよ」
電話を切った課長は、ため息をこぼした。