【改稿版】あなたと紡ぐ、永遠の愛は奇跡でした。
「皆さんさっきは、怒鳴ったりしてすみませんでした。 すみませんが急用ができたので、今日は帰らせていただきます。申し訳ない」
「あ、課長!見ていただきたい資料が……」
「すみません。急いでいるので、机の上に置いといてください。明日見ますから」
「あ、課長……!?」
課長はカバンを手にし、早足で急いで出て行った。
課長が帰った後、シーンとした空気が流れていた。
「……課長、どうしたんすかね?なんか課長の様子、変でしたよね?」
英二が手を止めて遠慮がちにそう言ってくる
「……さあね」
沙織が呟く。
「ねぇ、電話出たのアンタよね?」
沙織にそう聞かれて、私は「え?あ、うん……」と頷いた。
「電話の相手は誰だったの?」
「藤堂さん、って人。相手は女だった」
その発言に、沙織は「なるほど。ってことは……課長の恋人とか?」
「もしくは奥さんっすかね?」
恋人、奥さん……。その言葉を聞いただけで、胸が痛むのはなぜだろう……。
胸の奥が、針が刺さったように痛い……。
「でも課長、左手の薬指に指輪なんてしてなかったよね?」
「そうっすよねぇ。じゃあやっぱり恋人ですかね?」
「その可能性はあるわね。 ねえ、瑞紀はどう思う?」
「えっ……?」
ビックリする私に、沙織は「えっ?じゃなくて、課長のことよ。 課長に恋人っていると思う?」と聞いてくる。
「……さ、さあ」
やめて沙織……。これ以上課長のことを口に出さないで……。
これ以上課長のこと聞いたら私、泣きそうになる。 だからお願い……もうなにも言わないで。
私今、すごく辛い。胸の奥が焼けるように痛くて、死にそうだ。
「やっぱり知らないわよね。課長って、本当にミステリアスな人だし」