【改稿版】あなたと紡ぐ、永遠の愛は奇跡でした。
子供が出来なかったのも離婚の一つだが、一番の原因は、静香との価値観の違いと考え方の違いだった。
価値観が違うことで、お互いに分かり合えないことが多かった気がしていた。
お互いに話し合って、離婚することを承諾して、静香とは離婚をしたはずだった。
だから離婚した後も、静香は俺にしつこく電話をしてきたり、メールをしてきたりした。
静香から電話がかかってくる度に言われる言葉は、いつも"会いたい"だった。
最初は時々会っていたけど、その度にめんどくさくなっていつしか会うのをやめた。
まあ離婚した妻と会うなんて変かもしれないが、静香が俺をまだ好きだと言っているのが、正直迷惑に感じていた。
今は静香と会うつもりもないし、話すつもりもない。そして復縁するつもりも更々ない。
そして今の俺には、すごく大切にしたい人と思う人がいる。
それは同じ部署で働く部下の佐倉瑞紀だ。 瑞紀とはもう何回か、身体を重ねている仲だ。
もちろん部署のみんなは、それを知らない。 でも瑞紀に一度だけ、聞かれたことがある。
「私たちの関係って、一体なんなんですか……?」
その時の瑞紀の目はなんだか悲しそうで、今にも泣きそうになっていたのを覚えている。
でも俺は瑞紀の上司で、瑞紀は俺の部下だ。 だから本当は、心にもないのに、答えたくないことを言ってしまった。
「……身体だけの関係ってヤツ、なのかな、今は」
これが瑞紀を不安な気持ちにさせているのだと、思い知った。 瑞紀には、本当に申し訳ないと思っている。
本当なら、瑞紀のことを抱きしめたかった。 でもその時の俺には、それが出来なかった。