【改稿版】あなたと紡ぐ、永遠の愛は奇跡でした。
■課長の過去の話。
「おはよう、佐倉さん」
「課長!……お、おはようございます」
会社に出勤すると、ちょうどバッタリ課長と遭遇した。
「どうした?」
「いえ……なんでもありません」
どうしよう……。昨日のことが気になってら課長と顔を合わせるのが気まずいな……。
「昨日は、電話ありがとう」
「……いえ」
課長は私の肩を叩いてから、仕事場へと歩いて行った。
「あら、おはよう瑞紀」
「おはよう、沙織」
すると、私の顔を見た沙織が「ねぇアンタ、今日メイク濃くない?」と、自分のデスクに座った途端に、沙織にいきなりそう言われた。
「えっ!そうかな?」
いつも通りに、メイクしてきたんだけど……。
「どう見ても濃いわよ。アンタ一体、どうしちゃったの?」
「どうもしないよ? ちょっと寝不足で、クマが出来てたから、クマを隠したくて……」
そう言うと、沙織は「寝不足って……アンタなんかあった?」と、私の顔を見る。
「え? あ、いや……。べ、別に!? ただ友達と電話してたら、遅くなっちゃっただけ」
「ふーん……?」
「え……な、なに?」
なんか、怪しまれてる……?
「なんか怪しいわね、アンタ」
「えっ!怪しい!?」
怪しいってなにが!?
「そう、怪しいわ」
すると沙織は、「アンタ、なんか隠してるでしょ?」と私を見る。
「えっ!?や、やだなぁ……なにも隠してないって」
ごめん、沙織……。本当は、沙織に相談したいんだ。
でもね、沙織やみんなには、迷惑かけたくない。
だって、課長のことが気になってるなんて言えないよ……。それこそみんなに迷惑かけちゃう。
「ウソつくんじゃないよ。バレバレだよアンタ」
「……やっぱり?」
沙織は、なんでも分かっちゃうんだな。