【改稿版】あなたと紡ぐ、永遠の愛は奇跡でした。


「……少し、考えていいですか」

「え……?」

「少しだけ、考えさせてください。すみません」

 私は、そんなすぐに返事を返すことが出来なかった。
 課長の気持ちは、すごく嬉しいの。 でもそんなにすぐに、課長のことを信じられる訳じゃない。
 課長の過去を聞いた所で、どうにかなる訳じゃないけど、今は少し時間がほしかった。 
 それに、藤堂さんのこともあるし……。私はまだ多分、課長のことを傷つけたくないんだ。

「……瑞紀」

「私はまだ、課長のことを完全に信じた訳じゃありません。……でも課長のことは、本当にいい人だと思ってます」

 課長は複雑そうな顔をして、黙り込んでいる。

「私は課長を信じたいんです。……課長が私を信じてくれてるように、私も課長を信じたいんです」

「なら……どうしてだ?」

 課長が口を開くけど、私は「でも今は、課長と向き合う自信が、私にはないんです」と課長を見る。

「だから今は少しだけ、時間をください。……少しでいいので、お願いします」

「……分かった。返事はいつでも待ってる。 決まったら、教えてくれ」

「はい……ありがとうございます」

 だけど課長は、私にもこんなに優しくしてくれる。

「そんな顔するな。俺は笑ってるお前が好きなんだ」

「……課長」

「俺が好きなお前は、そんな弱気なヤツじゃないぞ。仕事熱心で誰にでも優しくて、いつでも笑ってるんだ。……俺はそんなお前が、好きなんだ」

 課長は優しく微笑み、私の頭を撫でる。

「……ありがとうございます」

 だからこそ今、私はすごく苦しい。 課長にそんな顔させてる自分がすごく嫌だと感じる。
 でも、私は決して課長にそんな顔をさせたい訳じゃない。課長には、ずっと笑顔でいてほしい。
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