【改稿版】あなたと紡ぐ、永遠の愛は奇跡でした。
□傷つくことの意味。
* * *



「もしもし?」

「もしもし……沙織?」

 私は沙織に、その日の夜電話をかけた。

「どうしたの?なんか元気ない感じ?」

「……そうかな」

「なんかあった?」

 沙織は、すぐに私の変化に気付くな。

「まあ、そんな感じ……かな」

「それはいいこと?それとも悪いこと?」

「……どうなんだろ。分からない」

「分からない?」

 これって、いいことなのかな……?

「うん……それは私にとっていいことなのか悪いことなのか、分からないんだよね」

 沙織は電話越しに「どういうこと?」と聞いてくる。

「……ある人に言われたの。付き合ってほしいって」

 これは喜ばしいことなんだよね、多分……。

「えっ!? それって、告白?」

「うん。でもその人にとって……」

「ん?」

「その人にとって、私がなんなのか分からないの」

 課長にとって私って……何なんだろう。

「分からない、って?」

「実はその人とは……身体だけの関係、なんだよね」

「はっ!?身体だけ!?」

 沙織は思ったより驚いている。

「その人とはもう、何回かエッチをしたの。……で私たちは、それだけの関係なんだって、その人に言われたの」

「……そう」

「でも付き合ってほしいって言われて、複雑な気持ちになったんだ。 私にとってその人は、何なのか分からなくなっちゃって……」

「うーん……まあ、そう思うのもムリはないわね。関係だけの関係だなんて言われたら、そりゃ複雑にもなるわよ」
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