【改稿版】あなたと紡ぐ、永遠の愛は奇跡でした。
■部下との秘事〜恭平目線〜
「お疲れ様です。課長、これに印鑑お願いします」
「分かった」
仕事をしてる時の瑞紀と、俺と二人で会ってる時の瑞紀は、全然違う。
会社での瑞紀は、部下に対して正確に、そして尚且つテキパキと仕事を教えたりしている。
会社での瑞紀はまさに"出来る女"って感じだ。
でも俺とのプライベートになると、"部下"から突然"女"に豹変する。
仕事は仕事、プライベートはプライベートときちんと公私を分けているのがさすがだと思う。
俺は仕事中でも、瑞紀が気になって仕方ないというのに……。プライベートの瑞紀は、仕事の時と全く別人で、驚くほど違う気がする。
「いいでしょう。これで提出してください」
「はい。では失礼します」
ハッキリ言って、仕事中の瑞紀はあまり好きじゃない。一応俺の部下であるが、好きじゃない。
仕事中の瑞紀は、本当に俺と会ってる時よりも真剣そのものだ。 まあ、仕事なのだから当たり前なのだが。
俺だって一応、公私を分けているつもりではあるのだが……。それに瑞紀とのことは、会社にはバレないようにしてるつもりだ。
でもハッキリ言って、正直辛い。 本当にどうしたらいいのか分からないし、瑞紀のこととなると、なぜかいつも頭がいっぱいになる。
ムキになってはイケないと分かっているが、心の中で瑞紀を取られたくないと思っている。
瑞紀のことを悲しませてるくせに、取られたくないなんて、欲望に狩られる。 俺は、どうしたいのだろうか。
「……佐倉さん」
「はい?なんでしょうか」
「ちょっと、お話があるんですが」
瑞紀を呼び出そうと、瑞紀に声をかける。
「話……ですか?」
「ここではあれなので、別の場所で話しましょう」
「……はい」
瑞紀は少し、戸惑っているようだった。