【改稿版】あなたと紡ぐ、永遠の愛は奇跡でした。
■課長と部下の境界線。


「お、おはようございます」

 朝仕事に出勤すると、仕事場には課長しかいなかった。

「おはよう、瑞紀」

 なんで……? なんで課長がいるの……。

 今日は目覚ましをかけて、いつもの時間より早く目が覚めたため、朝一番にと思って出勤してきたのに……。
 なのになんで、課長がいるの……。

「……課長、今日は早いんですね」

「ああ。今日は朝一で会議が入ってるんだ。 会議の前の準備しとこうと思って」

「そうなんですか」

 なんだか課長といると気まずくなってしまう。 あの日から私は、課長のことばかり考えてしまっている。
 仕事中でも、気づいたら課長のことを考えてしまう。 仕事に集中しなきゃならないってことは、分かっているのに、気づいたら課長にばかり視線が向いてしまう。

 私は、本当に欲張りな女だと自分でも思う。 私は課長が好きで、部長も私を好きでいてくれてるって分かってのに、どうしても不安になってしまう。
 課長との関係は少し距離があって、でも誰よりも近づいていて……。
 課長に抱かれている時は、なにもイヤなことを考えずに済むのに、いざこういう時になると不安になってしまうのが私のイヤな所だ。

 不安になるなと、課長は言うけれど。 それでも課長を誰にも取られたくって想いが強くなって、私はつい欲張りになってしまう。
 私は課長が好き。でも課長のそばにいるのが、怖い。
 いつか課長が私そばから離れてしまうんじゃないかって、そんな気持ちになる。

「あの、課長……」

「……ん?」

「私たちの関係って……なんなんですかね」

 私たちって、恋人って呼べるの……?

「私、不安なんです。……課長がいつか私のそばから離れてしまうんじゃないかって、不安でたまらないんです」

「……瑞紀」
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