【改稿版】あなたと紡ぐ、永遠の愛は奇跡でした。
「……あの、藤堂さん」
「着いたわ。ここよ」
帰ろうと思った時にはすでに、目的のお店に着いていて、結局帰ることはできなかった。
「藤堂様、いらっしゃいませ。ようこそお越しくださいました」
「さ、佐倉さん、入りましょう?」
藤堂さんに視線を向けられ、「……はい」と返事をするしかなかった。
お店に入った途端、従業員さんは藤堂さんに頭を下げていた。
「いつもの席をお願い出来るかしら?」
「かしこまりました」
私は渋々、静香さんの後を追うように歩いた。
お店の中の雰囲気はすごくオシャレで、どこか懐かしい感じがした。
「さ、ここに座って?佐倉さん」
「……はい」
そっとイスに腰掛けると、私の目の前に藤堂さんが座る。
お店の静けさが、気まずさをさらに演出しているようにも感じる。
「いつものアレをお願い。 それからシャンパンもお願い」
「はい。かしこまりました」
従業員さんが立ち去った後、静香さんはそっと私視線を向けた。
「ねえ、佐倉さん」
藤堂さんはお絞りで手を拭いている。
「……はい。なんでしょうか」
私は、藤堂さんを見つめる。
「恭平さんは、元気にしてる?」
「……はい。 毎日仕事で忙しいようですが」
私がそう答えると、藤堂さんは私に「そう。 ちょっと失礼なことを聞くようだけど、佐倉さんは今いくつなのかしら?」と問いかけられる。
「二十五……ですけど」
と答えると、藤堂さんは「二十五? あら、ずいぶん若いのね」とお絞りをテーブルに置く。