【改稿版】あなたと紡ぐ、永遠の愛は奇跡でした。
□課長と私の、微妙な距離。


「課長、これ次の会議の資料です。間違ってないかの、確認をお願いしたいのですが……」

「はい。分かりました」

 私はそれから、普通を装いながら仕事をしている。
 あの後は、課長と別に何事もなく過ごせているからいいのだけど、正直課長と目が合うとドキッとしてしまう。

 ハッキリ言って、ものすごく気まずくてしょうがないけど、でもこれは仕事上関係だ。
 もうしょうがないと、割り切ることにした。 公私を分けなきゃ、みんなに怪しまれるしね……。

「これでいいでしょう。 ではコピーして、皆さんに配布してください」

「はい」

 会社での課長は、ものすごく真面目な人だ。 仕事も出来て、みんなから信頼されている。
 おまけにカッコよくて、しかも誰にでも優しくて。 ……私は、あんなに素敵な男性に抱かれたんだ。
 まだ実感はしてないけど、彼にまた抱かれたいと思ったのはきっと好奇心からなんだろうな。

 課長に抱かれたあの日、部屋の中で彼のことについてずっと考えていた。
 そしてその時思ったのは、また彼に"抱かれたい"という気持ちだった。

 でもあの夜のことは、私の胸の中にひっそりと閉まっておこう。 そう決めていた矢先、彼がここにやってきたのだ。
 すごくビックリして、瞬きすら出来なかった。

 ゙開いた口が塞がらない゙とは、きっとこういうことを言うのだろうと、この時初めて思った。
 最初は気まずくてしょうがなかったけど、あの後から課長も公私を区別してくれているのか、みんながいる前では余計なことは話してこない。

 まあ話したら、あの夜のことを思い出してしまいそうだし。
 今はちゃんと公私を区別して、自分の仕事はちゃんとこなしてるけど、私は自分の仕事をするだけ。
< 8 / 251 >

この作品をシェア

pagetop