【改稿版】あなたと紡ぐ、永遠の愛は奇跡でした。
「課長と別れてくれと、言われました」
「なんだって? 静香にそう、言われたのか?」
課長が私の隣にそっと座り直す。
「……はい。藤堂さんはまだ、課長のことが好きみたいです。私に別れてくれと言いました」
「そうか。……君はなんて、答えたんだ?」
そう聞かれた私は、「もちろん、別れる気はないと言いました」と課長に告げた。
「そうか。静香が君にそんなことを……」
課長は困惑したような表情を浮かべている。
「……藤堂さんは課長のことを話す時、すごく生き生きしてました」
「え?」
「すごく嬉しそうに、課長のことを話してました。……それを見た時私、藤堂さんの課長に対する気持ちはまだ本物なんだと思いました」
藤堂さんのあの堂々とした態度が、どうも気になってしまったのは、確かではあるんだけど。
「……静香はな」
「はい……?」
課長が、藤堂さんについて話し始める。
「静香はああ見えて、結構弱い人間なんだよ。人前では強がってるけど、本当は誰よりも弱いヤツなんだ。一人で抱え込むことも多くて。……俺はあの時、そんな静香の弱さに、気付いてやることが出来なかったんだ」
藤堂さんは、まだ課長が好き。だから私に、あんなことを言ったんだと思う。
でもそれって本当は……藤堂さんの強がりだったのではないかと思う。
課長の言う通りかもしれない。 藤堂さんは本当は、すごく弱い人間なのかもしれない。
内面が鏡のようにもろい人だから、あんな風にしか自分を表せないのかもしれないな……。
藤堂さんは、多分……不器用な人なのかもしれないな。