【改稿版】あなたと紡ぐ、永遠の愛は奇跡でした。
■元奥様の執着。


「……あの、課長」

「ん?」

「……藤堂さんは私なんかよりずっと、か弱い人なのかもしれないですね」

 私がそれを言うと、課長も同意しているのか、「そうかもな。……でも俺には、静香なんかよりもっと大事なものがある」と私に告げる。

「大事な……ものですか?」

 課長の大事なものって、なんだろう。 
 そう思っていると、課長は私の目を見て「君だよ、瑞紀」と私を見る。

「え……?」

「今の俺には、お前だけなんだ。……静香なんかよりもずっと、君を愛してる」

 そう言った課長のその茶色い瞳は、真っ直ぐに私を捉えている。

「課長、私っ……」

 思わず、目を伏せてしまう。

「……瑞紀、俺を見て」

 私の頬に触れる、課長の大きな手。その大きな手が触れた私の頬は、温かさを増していた。

「課長……好きです」

 自然と口からこぼれたのは、その一言だった。

「……俺もだ」

 課長に触れられた頬が、とても熱い。 私の頬、今すごく熱を帯びてる。

「瑞紀……」

「んっ」

 返事をする余裕さえくれないのは、課長のその唇だ。
 私の唇を啄むように塞ぐその唇は、私には何も言わせてはくれない。

 呼吸をするのも精一杯で、課長のその深いキスに追いつく余裕なんてない。
 課長は、時々こうやって意地悪をする。

「かっ、ちょ……」

 唇を離した課長の唇は、だんだん下に移動してきて、鎖骨の所で止まった。

「瑞紀……愛してるよ」

「んっ……!」

 小さく色っぽい声でそう呟いた課長は、私の鎖骨より下を思い切り吸いついた。
 そこに大きく作られたキスマークは、甘噛みされたような痛みがあり、課長が付けたという"印"だった。

「なんで……?」

「これで瑞紀はもう、俺のものだよ」
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