【改稿版】あなたと紡ぐ、永遠の愛は奇跡でした。


 私は課長の身体に思いきり、抱き着いた。
 課長にそう言われたことが嬉しくて、初めてこんなに"課長の気持ちに応えたい"と、思ったことはなかった。


* * *


 しかし、そんなある日のことだった。
 
「佐倉さん」

「………」

 後ろから聞き覚えのある声がした。 このハイヒールの音に、私は聞き覚えがあった。

「……なんでしょうか」

 その声の方に振り返ると、目の前にいたのは、やはり藤堂さんだった。
 この前会った時みたいに、ハデな格好をしている。

「ちょっといいかしら?」

「すみません。今、仕事中なんですが」

「少しでいいの。時間とれない?」

 私はため息を吐き、「……分かりました。少しだけなら」と彼女に告げた。
 今度は一体、私になんの用なの? 私は話すことん、何にもないのだけど。

「ありがとう。 ちょっと移動しましょ」

 二人で喫煙席のある席へと移動する。

「……所で、私に何の用ですか?」

 藤堂さんの方に振り向くと、藤堂さんはタバコを取り出し、気だるそうに吸い始める。

「恭平さんとは、別れる気になった?」

 タバコの煙をゆっくりと吐き出した藤堂さんは、そう口を開いた。
 そして私の方に視線を向ける。

「……何を言ってるんですか?」

「あら、まだ別れてないの? この前私、あなたに言ったわよね? 恭平さんと"別れて"って」

 藤堂さんはタバコを灰皿に押し付けると、私にそう告げた。

「……私は、イヤだと申し上げたはずですが?」

「あら、まだ分からないの? あなたと恭平さんじゃ、格が違うのよ。釣り合わないわ」
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