【改訂版】いらくさの家
第8話
それから60分後であった。

ところ変わって、山下公園の近くにあるスイーツカフェの店内にて…

美香子は、小学校の時に6年間クラスが一緒だった友人の女性と話をしていた。

ふたりは、お茶をのみながらこんな会話をしていた。

「美香子…あんたもつらかったよね…」
「うん…アタシ…生きていくのがイヤになった…」
「そうよね。」

美香子は、お茶を一口のんだあと友人の女性に言うた。

「ねえ。」
「なあに?」
「女の幸せは結婚して子を生むことだと決めたのは…誰かしら…」
「そうねえ…」

友人の女性は、ひと間隔を置いてから美香子に言うた。

「分からないわ…」
「分からない?」
「うん。」
「分からないのに結婚したって意味ないわよ。」

友人の女性は、お茶を一口のんだあと美香子に言うた。

「美香子の言う通りよ…結婚なんかしない方がいいわよ…お見合いしても、ダメ男や女々しい男や親にイソンするパラサイトばかりよ…」
「そうよね。」

友人の女性は、ケーソツな声で美香子に言うた。

「美香子…この際だから…シューカツとコンカツ…両方やめよ。」
「えっ?」
「この際だから、全部リセットしてしちゃいなよ〜」

友人の言葉を聞いた美香子は、人生をすべてリセットすると訣意《けつい》した。

それから五時間半後であった。

場所は、伊勢佐木町《いせさきちょう》にあるディスコにて…

美香子は、小学校時代の友人の女性と一緒に中華街で高級料理を食べた後、ホストクラブへ行く前にディスコへ行って踊りまくった。

ディスコの店内には、色とりどりの灯りとミラーボールの灯りが交互交互に照らしていた。

店内にある大型スピーカーから洋楽のナンバーが大音量で鳴り響いた。

『チャチャチャ』『ヴィーナス』『ダンシングヒーロー』『愛が止まらない』『HERO』『NEVA』…

日本の歌手がカヴァーで歌っていた洋楽のナンバーがノンストップで鳴り響いた。

美香子は、乳房《むね》にベネトンのロゴ入りの黒のチューブトップ・へそにピアスの上から赤紫色のラメラメのベストを着て、ヒョウ柄のミニスカを着ていた。

あしもとは黒の網目のタイツにサンダル…

顔に派手な色のギャルメイク…

爪にトゲトゲしい色のネイル…

…の美香子は、40前の女に見えないど派手な格好をしていた。

深夜11時半過ぎであった。

美香子は友人の女性と一緒にホストクラブへ行った。

この時、美香子は売り上げナンバーワンホストのミカド(22歳)と出会った。

韓流スター似のミカドの魅力に目を奪われた美香子は、深みにはまった。

深夜2時半頃であった。

美香子は、ミカドと一緒にミカドの愛車のBМWに乗って国道134号線沿いにあるラブホへ行った。

2人はラブホのベッドの上で、朝まで抱き合って過ごした。

「ああ!!ミカド…美香子の身体をむさぼって…むさぼって…むさぼって…アアアアアアアアアア!!アアアアアアアアアア!!」

ミカドは、美香子の身体を無我夢中でむさぼり続けた。

美香子は、より激しい声をあげていた。

美香子は、ミカドにしがみついて生きて行くことを選んだ。

これにより、美香子の心の崩壊がさらに加速した。

それから8日後であった。

ところ変わって、けやき通りにあるスイーツカフェの店内にて…

美香子は、小学校時代の友人の女性と会っていた。

ところ変わって、スイーツカフェの店内にて…

ふたりは、お茶をのみながらお話をした。

多香子は、ものすごく悲しい表情で友人に言うた。

「アタシ…人生…しくじったみたい…」
「人生…しくじったって…」
「うん…」
「多香子…」

多香子はのみかけのコーヒーを一口のんだあと、友人に今の乳房《むね》のうちを言おうとした。

しかし、くすんくすんと泣き出したのでうまく話すことができなかった。

「くすんくすんくすん…くすんくすんくすん…くすんくすんくすん…くすんくすんくすん…」
「多香子…どうしたのよ…」
「だって…くすんくすんくすん…くすんくすんくすん…」
「多香子…ねえ多香子…」

友人の女性は、多香子に声をかけた。

多香子は、泣いてばかりいたので会話ができなかった。

友人は、多香子に対して声をかけた。

「多香子…泣いてばかりいたら前へ進むことができないでしょ…」
「くすんくすんくすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…」
「多香子、何もかもシャダンしたら話し合いができなくなるわよ〜」
「できるわけないわよ!!くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…」

今の多香子の気持ちは、落ち着いて話ができる状態ではなかった。

この時、家族4人はおだやかに話し合いをすることができないのでなにを話し合ってもムダであった。
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