コソ練のススメ
次の日の朝いつものように公園に寄ると、ボールが地面をバウンドする音が聞こえた。
「うそ。先客…?」
自転車を入り口に停めて、ゆっくり近付く。
顔は見えない。
けど、男の子だということは分かって、同じ制服を着ているのもわかった。
バスケ部…?
その人が放ったボールは、キレイな弧を描いてゴールに吸い込まる。
それはとても、美しいフォームの3ポイントシュートだった。
見惚れた私が思わずパチパチと拍手をすると、その人は少し驚いたように振り返った。
目が合ってハッとする。
彼はバスケ部じゃない。
でも知ってる。
幡多 紘平。
スポーツとは無縁そうな、黒縁のメガネとバスケットボールがなんともミスマッチ。
同じクラスの男子だった。