年の差十四の主さま~家を追い出されたら、最凶と呼ばれる魔法使いさまのお世話係になりました~
第1話 魔法使いさまは寝起きが最悪
カーテンを開ける。きらきらとした朝日が部屋に差し込んできて、私は「ふぅ」と息を吐く。
「……今日も、頑張ろう」
ここに来た当初、埃まみれだった部屋はそれなりにはきれいになった。
整頓されているというよりも、物が少ない部屋。私は元々物に執着が薄いから、当然と言えば当然だけれど。
洗面所で顔を洗って、お仕着せに着替える。次に鏡台の前に腰掛けて、髪の毛をひとまとめに。軽いメイクを施して、部屋を出て行った。この時間、わずか十分である。
やたらと長い廊下を歩いて、私は雇い主……主の元へと向かう。
この邸宅で一番豪奢な扉の前に立ち、一度だけ深呼吸。いつものように扉に手を伸ばして、三回ノック。
「ユスターシュさま。朝でございますよ」
そう声をかける。けど、室内から返事はない。……許容範囲。当然。いつものことだ。
「……入りますね」
聞こえていないであろうけれど、そう声をかけてドアノブを回す。
室内は暗い。分厚い遮光カーテンは朝日をシャットアウトしている。
ぐるりと室内を見渡して、私はとりあえずと窓のほうに向かった。そのままさっとカーテンを開けて、部屋に朝日を取り込んだ。
その後、くるりと振り返って、寝台へと視線を向ける。そこには大きな塊。毛布にくるまり、まるで起きることを拒絶しているかのような。そんな雰囲気さえ醸し出すその物体。
「……今日も、頑張ろう」
ここに来た当初、埃まみれだった部屋はそれなりにはきれいになった。
整頓されているというよりも、物が少ない部屋。私は元々物に執着が薄いから、当然と言えば当然だけれど。
洗面所で顔を洗って、お仕着せに着替える。次に鏡台の前に腰掛けて、髪の毛をひとまとめに。軽いメイクを施して、部屋を出て行った。この時間、わずか十分である。
やたらと長い廊下を歩いて、私は雇い主……主の元へと向かう。
この邸宅で一番豪奢な扉の前に立ち、一度だけ深呼吸。いつものように扉に手を伸ばして、三回ノック。
「ユスターシュさま。朝でございますよ」
そう声をかける。けど、室内から返事はない。……許容範囲。当然。いつものことだ。
「……入りますね」
聞こえていないであろうけれど、そう声をかけてドアノブを回す。
室内は暗い。分厚い遮光カーテンは朝日をシャットアウトしている。
ぐるりと室内を見渡して、私はとりあえずと窓のほうに向かった。そのままさっとカーテンを開けて、部屋に朝日を取り込んだ。
その後、くるりと振り返って、寝台へと視線を向ける。そこには大きな塊。毛布にくるまり、まるで起きることを拒絶しているかのような。そんな雰囲気さえ醸し出すその物体。
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