パーカー女子は、フードを彼に

第二話『ピンチな時に』

賢人と一緒に洋服屋さんで買い物を済ませた帰り道。

(可愛いパーカー、いっぱい買っちゃった…)

賢人と別れた私はひとりで家に向かって歩いています。

そんな私でしたが、さっきから誰かにつけられてるみたい…

ちょっと早歩きで急いで家に向かうことにします。

すると…

「きゃあっ⁉︎」

後ろから誰かにパーカーのフードを掴まれました。

振り向くと知らないオジサンが私のパーカーのフードを掴んでいました。

「いやっ!離してっ!」

私はオジサンの手を振り解こうとします。

しかし、オジサンはニヤニヤと笑ってフードをギュッと掴んだまま。

「誰か!助けてっ!」

私は声を挙げましたが、周りには誰もいません。

オジサンにフードを引っ張られながら私はすぐ近くの公園へ連れて行かれました。

「もう、やめてください…」

オジサンに公園のトイレの裏に私は連れて行かれてしまいます。

オジサンは私のお気に入りのパーカーのフードをギュッと引っ張りあげました。

「あっ、いや…苦しい…」

フードを勢いよく引っ張られて首が絞めつけられます。

「やめて…離してぇ…」

私は苦しまぎれにオジサンの手をフードから振り解こうとしましたが、強くフードを掴まれていて解けません。

オジサンはさらにフードを引っ張り上げました。

「苦しい…もう…ダメ…」

私はフードを強く引っ張られて、さらに首を絞められてしまいました。

(誰か…助けて…)

その時でした。

「やめろっ!」

誰かの声がします。

フードを引っ張られて首を絞められていた私は、苦しまぎれにその誰かに助けを求めました。

かけよって来たのは賢人でした。

オジサンは私のパーカーのフードから手を離して逃げていきました。

「はぁ…はぁ…」

私は苦しさから解放されてその場にへたり込みます。

「大丈夫かっ⁉︎、彩!」

「賢人…」

なんでここがわかったのか、私には不思議でした。

「よかった、彩が無事で…」

いつものお調子者な賢人とはまるで違いました。

私を助けに来てくれた賢人は、まるでヒーローみたい。

(賢人…ありがとう…)

ほっと胸を撫で下ろします。

私は賢人のことをさらに好きになってしまいました。

< 2 / 3 >

この作品をシェア

pagetop