天使ちゃんの片想い。



 人集りが一番多いところに、ニナたちはいた。


 一番眺めが良いらしい。


 「良かったじゃん、浴衣」


 ニナはハトリに選んでもらった浴衣を身にまとっていた。


 桃色に真っ赤な花柄模様の、可愛い浴衣であった。


 「もう少しだよ」


 リーダーが言った。


 打ち上げ花火を、人々は見上げた。


 これでもかというくらいに、首を空に向けて、大きく目を見開いて、心に刻んだ。



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