天使ちゃんの片想い。



 「まただね、天見。俺を見つけるのが上手い」


 それを聞いたニナは、ニコリと微笑んだ。


 けれど、少しやつれていた。


 「天見って、天使みたい。ずっと、空を見てたからなのかな」



 ニナの羽は、大きく、ウルを包み込んだ。


 「ねえ、天見、俺、天見が屋上に来なくなってから、ずっと考えて」


 そして、ニナは消えた。


 淡く、打ち上げ花火の後の空の様に、煙だけが残った空の様だった。


 少し先の空にはまだ、大きな花火が上がっていた。







-END-
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