天使ちゃんの片想い。



 そっと、後ろを見ると、ビルの窓にうつったニナは人様の姿をしていた。


 周囲に溶け込めるように、人様と同じ様な背格好、服装をして。


 それでも、少し長い髪は束ねられて。


 後頭部の高い位置で1つ結びに。


 ニナは喜んだ。


 わたしも人様になれたのだ、と。


 笑みがこぼれ落ちそうな口角をおさえるように、頬を両手ではさみこんだ。


 そこで、ハッとした。


 ナガシマウル…


 どこにいるのだろうか。


 こんなにも人がいては見つけられない。


 「わからない」


 突然1人になった気がして、涙が出そうになった。
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