恋愛契約〜社内イチの地味子が元ヤンエリート係長に溺愛にされる〜

 杏樹への部署内での対応は次の日も相変わらずだった。

 それでも杏樹は気付かないふり、見ないふりをして、仕事に集中した。

 他の人に相談しようにも、相談できる先輩たちは皆杏樹と関わらないようにする。

 しかも、長田は猿田と付き合っているのだから、相談しては猿田の思うつぼであり、きっと長田も陰では猿田と同じように杏樹のことを笑っているのだろう。

 しかし、杏樹の周りではもう一つ変化が起きていた。
 それは杏樹が食堂で昼食を取っていると、必ず橘がやってきて斜め前に座る。
 そして、最後に何かしら一言杏樹に声を掛けて去っていく。

 杏樹にとってその時間が唯一不安を感じずに過ごせる時間だった。

 だが、日に日に部署では杏樹への風当たりが強くなっていく。
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