恋愛契約〜社内イチの地味子が元ヤンエリート係長に溺愛にされる〜

 橘とは、杏樹が所属する第三営業課の向かいにある第一営業課の係長の橘岳人だ。
 営業成績は常にトップで社内で一番モテると言われている係長だ。
 杏樹より10歳以上歳上だが、未だに結婚しておらず女性社員たちがこぞって彼の妻の座を狙っている。

 杏樹は元々橘に興味は無く、言われてみれば格好良いなという程にしか思ったことがない。

 第一営業課から橘が出てくると、女子社員たちはまるで街なかで芸能人にあったかのようにキャッキャし始める。
 そして、事務所内はしばらく橘の話でもちきりになる。

 今がまさにそうだ。杏樹先輩である津田を中心にやいのやいのと橘トークが始まった。

「橘さん、今日もマジで格好いいんだけど!」

「今月も営業トップだったから余計に輝きが増してますよねー」

「何であんなに格好良いのに結婚してないのか分かんない」

「本当、間違いないですー。何なら私嫁にして欲しいくらいですって」

「いやいや、アンタなんか橘さんに似合わないわ」

「えー。津田さんひどいー」
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