恋愛契約〜社内イチの地味子が元ヤンエリート係長に溺愛にされる〜

 その時、ふと視線を感じた。

 猿田と彼といつも一緒にいる数人の男性社員が、杏樹の方を見て笑っていた。

 その瞬間、杏樹は悟った。

 彼らが何かしら裏で糸を引いているのだろう。まずは皆に杏樹を避けるようにとでも言っているのだろうか。
 数ヶ月前も杏樹の部署で男性社員が一人辞めたが、裏で彼らが嫌がらせをしていたと聞いたことがあった。
 おそらく、次の標的は杏樹なのだろう。

 もしもそうだとしたら、と考えた瞬間怒りと、悲しみと恐怖が襲ってきた。
 これから何をされるのだろうか、何故私が仕事の邪魔をされなくてはならないのかと。
 誰とも当たり障りなく、それなりにうまくやってきたはずなのに、何処かで間違えたのだろうか。

 一気に食欲が無くなり、杏樹が箸を止めて俯いていると、斜め前の席に誰かがやってきた。
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