真っ白な恋をしてみせる。
真っ白な恋 ピュアハートドリームスノウ
中一、有名都立高校に通う小柄なソフトクリームが似合いそうな女子、白沢爽(しらさわそう)。
名前いじりを幼い時からされて引っ込み思案な性格になった、するとそれを言いたい放題される、見た目も相まって奥ゆかしく可愛いので、お姫様みたいだ、お嬢様だ、なんて揶揄われた。なので本人はどこが着火点なのか、スカートを穿かない決心が着いた。ハーフスカートは論外、ミニスカートなんて。年がら年中長ズボン、男の子っぽいカジュアルファッションが増えてから周りの男子達もそこまで言ってるんじゃないと開き直り、やがて揶揄うのも自らが調子のいいこと言っているこことに気づいたらしく、いじめは途絶えた。
それから王子様が過去の辛い経験を塗り替えるために現れてくれるような妄想は現実となった。
「白沢爽じゃん。」
「この生はげ、人の男釣っておいて!」
「表出ろよ」
なんたる場面。私はこの人たちを害するような行動をとった覚えはない。男の子なんてワードさえも、私がすごく悲壮感を湧く。
だが女達の顔はみるみる赤ら顔になっていく。
自慢のロングヘアを掴まれた私は校舎裏へ呼び出された。
ちょうどいいところに、置き石があり、そこに体を投げ飛ばされる。
すごく、 力強いな。
常人じゃないぞ。
大分怒りで握力がリンゴ潰すぐらい上がっているらしい。
「ねえ、なんで呼び出されたかわかってる?
脳内お花畑ちゃん。」
「言い方次第ではプールの水に浸からせるから
はっはっは」
汚い唾が飛ぶ。
顔面を拭うとよろりと立ち上がる。
「あんたは土に這いつくばってればいいのよ。
気に食わないから。」
真ん中の女、性格悪おんな。
自分の言ったことに悪びれる気持ちもないんだろうな。
「ーーー欠点がさーこないだ...」
するとちょうど私たちの後ろを通るいつも遠くから聞いている声がした。
イケメン代表、永瀬流羅(るら)君だ。
取り巻きはいつもの温井君と氷(ひょう)くんだろうか。
「やべっ隠れるよ。
あんた、白沢の口塞ぎなっ」
真ん中のリーダー格の言葉にもたついた横についた女子が、
「えっ、でもーー、」
惨めな白沢を目にするよりイケメンの方が興味がいったのだろう。
色眼鏡をかけるとはこのことだ。