真っ白な恋をしてみせる。
その揉めあった甲斐もあってか、
あっさりいじめの場面はバレてしまった。
「ん、なにやってんのー。」
いつも坊主あたまで暑くないか心配な温井くんが騒ぎに気付き、第一声を発した。
周りも連れ添って場面の把握に努める。
「あ、学年で有名な白沢爽じゃん。」
「とーー、顔面厚化粧の井高達か。」
飄々と頭をこてんと傾けた氷くんが語る。
真ん中にいた中心人物はわたしの様子にいち早く気づく。
すると、下を俯く私に関係性の変化に気づき、
徐にわたしのそばに立ち寄ってはさりげなく手を取って。
「大丈夫?...白沢さん。だっけ。……」
「ち、違うの氷君に流羅くん。
こいつは人の男に色目づかって……」
途端に弱々しくなるリーダー格井高の声。
「とりあえず一旦巻き上がるよ!」
「この一件は死んでも許さないからな!」
井高は怯まない流羅くんの姿をみて、怖気付いたのだろう。
指先が、 震えてる。
睨んだ流羅君は「一旦巻き上がる」と言ったセリフに納得いかずに井高の行先に立ち塞がる。
「この子に何されたの?白沢は男にそんなことするような勇敢さもないと思うんだけど。」
「でっでも!!図書委員してたマコが言ってたんだよ!!委員会の会議中に昼寝中の彼に向かってなんかして、その後目があって彼がそのままニヤニヤしてその後、白沢俺の彼女にしよっかなーなんて言ったから!!」
「..わ、わたしは眠ってた幸也くんにも会議に参加してもらいたくて言葉よりもペン先で机をつ突いて起こしただけで…会話も交わしてないし…目も合わせてないし…」
ずっと俯きがちだったわたしが顎を引いて訳を話した。
彼の勇気?みたいなのに力をもらったからだ。
「だってさ…、白沢がそいつにしたのは善意だって証明されたね。好意的でないのは事実。それに、マコってこの彼氏がどう思おうがそいつの自由じゃん。
自由を縛りつけてんのは井高達の方だと思うけど?
それに白沢見返せるように本人が頑張ればいいことじゃん?」
マコと呼ばれたゆるふわ巻きの女の子は気を落としたのか、
長いまつ毛が伏せられている。
白沢見返せるように。
それは言い過ぎだ。
わたしを見返すには天地がひっくり返らねば
無理だ。不可能だ。
たまに、わたしが男だったら良かったのに
と思うことがある。
わたしが男なら、力もつけて、自分の身は自分で守れて、
男関係はラフなことが楽ちんに思えるし、
諍いが起きないから。
いつも負担を負うのは女側。
守られるのが女の風潮でもある。