真っ白な恋をしてみせる。

帰り道のスノーラブ


なんとなく彼、流羅くんの隣を歩く。
小石とか電柱とかにぶつけないようにしなきゃ。
足とか頭とか。


見られて恥ずかしいこと、ぼうっとしていて、つい、
しないように。
灯台下暗しっていうんだっけ…。
気づかないように歩いてたらぶつかったとか変なミスしないように…

「ね、さっきから何地面と睨めっこしてんの?」

「はゔあ"!!!」

極楽至上大天使様に地面とか周りの遮蔽物睨めっこしてんの、
バレた!!

鬼バレやん!!


たまぁーについ、心の中の私が関西弁になる時がある。
大分気分が舞い上がってる時。大抵。
おかしい。こんな気持ちになるの、大分おかしいはずなの
にーー。ちょっと恥ずかしくなる。親父みたいになる、
語尾が。


「わたし…ちょっと周り観察するのが趣味で…あ、絵を描いてて…。ちなみにジャンルはーー」

「嘘。」


わたしが詭弁を垂れていると、見境なくつい、嘘をつくと早口になる正体を見破ってきた王子様、流羅君。

背後に立ち止まった流羅くんを見返すように、振り返る。

なん、で嘘バレちゃうんだろう。

私、絶対今顔ーー

自慢のロングヘアを2房持ち、顔の前で交差させる、ーー

弛ませた髪から仄かに檜のシャンプーの香りがする、

てかそんなことよりも、頭の中が流羅君でいっぱいなのが恥ずかしいーー

これだけは、本人にバレてませんように。
格好いい、年上女性を演じられてますようにーー。

私の言う格好いい年上女性は隙がない。
付け入る隙がない女性は大人。フライデーに載るようなトレンディーな女性じゃない。

王子様はまた私に歩み寄ってーー…

「男。苦手だもんな。

俺が矯正してやろっか?」


えーー

つい、耳を疑う事実。
私は今、口説かれてますかー??


心臓がドクドクと打つ。
私、欠陥ばかりだと思うけど。
幸せとは程遠い人生を送ってきたと思うけど。

甘えて、いいのー??


「白沢がよければ、だけどな。」


ニカッと笑う王子様。
流羅くん。

茶髪の前髪が揺れる。
風で均一になって揺れている。

時が止まっているような、感覚。


「?、顔、逆上せてるみたいだけどーー?」


その時の私の顔は温泉に長湯した後のように
ほっこり、頬が赤くなっていたそうだ。






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