亡国の奴隷姫と独裁国家の狼王子 ~処刑寸前に仇の王子の奴隷に落とされました~
シルフィリアは飛び上がるようにして、身を起こす。
現れたのは、処刑場で見た、燃える炎の色の髪を持つ男だ。
獣型はしておらず、人の形をとっている。
彼も湯浴みを済ませたのだろう、ローブを羽織るのみで、昼間の時とは別人のようなくつろいだ姿だった。
気位の高いさしもの亡国の王女も、頭の中が真っ白になった。
殺される覚悟はできている。
凌辱されるであろうことも、覚悟はできていないが、頭では理解している。
しかし、初心な彼女には、作法が分からない。
こういうときは、一体どのようにすべきなのだろう。
床に這いつくばるように頭を下げるべきか。
はたまた、立ち姿で出迎えるべきか。
しかし、そのどちらも、今のシルフィリアには荷が重い。
何しろこの服では、どちらを選んだとしても、全てを曝け出すことになってしまう。
動けないでいる金髪の乙女に、男はしかし、嘲るように嗤った。